
一般社団法人ムスリムフレンドリー国際協会主催
大阪府日本調理技能士会が調理講習担当し調理師のための「ハラール調理師講習会」がスタート!
国家資格である調理師に対し、ハラールについての知識や正しい認識を教授するため、「食」に特化した講習や実習・実演により学習することにより、その修了生に対して「一定の知識・認識を習得した」調理師であることを認証する制度を創設致しました。
講習会では、イスラム教徒の方々の信頼に叶う徹底した日本料理のハラール化に取り組む上での、食材や調味料等の選択方法、献立立案や調理における注意点などについて学習します。また、ハラールに徹底して正しく対応させながらも、本物の日本料理として味を落とすことなく調理する工夫についても、プロの調理師の視点から様々な提案を行ってまいります。

日本を取り巻く国際化の波
日本政府は観光立国のための行動計画を作成し、2020年の東京オリンピックまでに訪日外国人の数を2倍の2,000万人にするという目標を掲げています。また、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、インドネシアの東南アジア5カ国に対するビザの発給要件を緩和した(2013年)こともあり、東南アジアからの観光客も増加しています。
そうした中、「和食」の食文化が自然を尊重する日本人の心を表現したものであり、伝統的な社会慣習として世代を越えて受け継がれていると評価され、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、「和食」を無形文化遺産に登録しました。それにより、和食や日本料理への注目が更に高まっているといえるでしょう。
また、訪日外国人が増加するなか、世界の人口の約1/4(約20億人)に迫る勢いのイスラム教徒(ムスリム)の観光客も増加しています。
イスラム教徒が訪日しても食べるものがない!
訪日外国人が日本食に対して関心が高い一方、日本の外食産業をはじめとするサービス産業は、ハラールに十分に対応してきたとは言い難く、イスラム教徒にとって日本は「訪問しづらい国」であったといわれている。
現在、ムスリムの方々に向けて対応できている日本料理店は決して多いとはいえない状況であるため、ムスリムの方々にとっては、日本での食事が不安の要素となってしまっている。
今後多数訪れるムスリムの方をおもてなしするためにも、日本料理に携わる調理師には、少なくともハラールについての知識をもち、またハラールに対応した美味しい日本料理を提供できる技術を養っておく必要があると考えています。
「調理師」ら料理人が、正しいハラールの知識と認識を持つことが重要!
イスラム教の戒律に則ったハラール食材や調味料を正しく流通させるために加工品等のハラール認証制度があり、また、工場やレストランのキッチン設備等のハラール対応についての認証制度も同様に普及し始めてきております。
しかしながら、それらを用いて、ハラールに対応した料理を提供する第一線に立つのは「調理師」ら料理人であり、その調理師のハラールに対する知識と認識は、未だ十分ではないのが現状です。そのような状況の下では、ムスリム観光客の信頼に叶う料理を提供し、日本の食文化を楽しんで頂くことは難しいと言わざるを得ません。日本料理をムスリム観光客に気軽に楽しんでもらう環境を 整えてゆくには、実際に調理する料理人たちのハラールに関する知識や意識を高め、食材や調味料の正しい選択と活用がすすまなければならないということが言えるでしょう。
日本料理に携わる調理師には、今すぐにハラール料理を提供する予定がなくとも、ハラールについての知識と、ハラールに対応した日本料理を提供できる技術を養っておく必要があるのではないでしょうか。
大阪の調理師が、日本料理のハラール対応をけん引する!
以上のように、世界が期待する日本料理をムスリム旅行者に楽しんでもらう環境作りのために、より多くの料理人にハラールについての知識や正しい認識を習得してもらい、ムスリム観光客の信頼に叶う形で、日本料理を提供する技術を養ってもらう必要があると考えられます。また、そうした教育を行なうことによって、世界で活躍できる調理師を育成でき、食を通して世界との交流を活発化できるといえます。
そこで、令和元年度より厚生労働省国庫補助事業として公益社団法人調理技術技能センター[調理師のためのハラール研修]が令和5年まで継続され、大阪府日本調理技能士会(室田大祐会長)が委員長を務め、日本の料理のハラール対応に関する情報収集と実践研究並びに調理研修を行った結果
一般社団法人ムスリムフレンドリー国際協会として継続しこれを国家資格である「調理師」を対象とした「ハラール対応調理師認定制度」として、その普及を目指すこととなりました。
日本の料理界では、日本の料理の伝統的な技能を振興するために全国日本調理技能士会連合会があり、その傘下に各都道府県ごとに調理技能士会が置かれています。大阪府日本調理技能士会は、全国に先駆けて日本料理におけるハラール対応に関する知識習得を促進し、まずは関西でその認識を広げ、そして後には連合会を通じて、全国へとそのシステムやノウハウを発信していく計画です。
室田会長は、「伝統ある日本料理をより多くの人たちに楽しんでもらうため、ハラールを正しく理解した調理師を育成することは非常に重要。そして、日本から海外へそれを進めていく!」と意気込みを語っています。
•日本料理のハラール対応とは
伝統的な技術と芸術文化を背景にもつ日本料理を、「ハラールな食材や調味料」を使うなど、ハラールな環境で調理し、イスラム教徒の人々に、日本の美味しさと美しさを伝えることである。
(1)イスラム教徒への提供には、
食材や調味料に制限があることを前提とする。
(2)そして、その制約をやぶらずに、
日本料理を楽しんでもらうことは「可能」であることを理解する。
(3)器や素材、盛り付け、味付けといった職人の技術を駆使し、
「知恵」と「工夫」によって、ハラール対応を実現し、
より多くの人に日本料理を楽しんでもらおう、という気持ちを持つ。